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と水槽幅の関係から本実験は2次元実験とした。波、風、潮流は正面入射とした。実験用弾性浮体模型は発泡ポリウレタンの板を接合した一体型模型として作製した。剛性の違いによる応答を調べるために厚さの異なる2種類の模型を用意した。模型Aの厚さは2cm、模型Bの厚さは4cmであり、模型幅が水槽幅と等しい2次元模型である。模型Aは横須賀市追浜沖で行われているメガフロート実証実験浮体(全長300m、深さ2m,EI=4.63x1010kgfm2)の1/100スケールを想定した弾性模型である実験模型の諸元を実証実験浮体と比較してTable1に示す。実験模型と計測装置の概要をFig.1に示す。模型各点の変位は光学式の非接触変位計(Position Sensor)で計測し、曲げモーメント計測には歪みゲージを用いた。喫水が微小なため漂流力が小さくなることが予測されたので、模型は緩い線形ばね係留として複合外力による漂流力はばねの伸びから推定した。
実験条件としては入射波は規則波で船長波長比(L/λ)1〜10の間で波高0.02m(模型A)と0.04m(模型B)で行った。定常風の風速は1.0,3.0,5.0m/sで、潮流は0.1,0.15,0.2m/sで発生させた。波、風、潮流ともに正面入射とした。上記の波、風、潮流各々単独の場合と組合せた場合の複合外力下での挙動および漂流力を計測した。さらに潮流による漂流力に関しては水深影響も調べた。

Table 1 Principal dimensions of models

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3. 実験結果及び考察
まず曲げ剛性の異なる2つの模型に関して大型弾性浮体の波浪中応答の特性を調べた。Fig.2,Fig.3に模型A,Bの規則波中での長手方向各点の上下変位振幅を示す。図中、線の上の数字は入射波の船長波長比L/λであり、数字の大きいほど短波長である。柔らかい模型Aの場合、L/λ=1で各点の変位振幅z/aが1より大きくなる。特に前端と後端から1/5ほどの点の動きが大きいことがわかる。また各点の振幅の変化が大きく顕著な弾性変形を示している。一方、Fig.3に示す模型Bの場合、異なる傾向を示し長波長では模型中央付近で最小値を示し、前、後端ともほぼ等しい振幅を示している。これは模型Aに比べて岡雌が高いために弾性応答に加えて剛体運動のピッチの影響が含まれるためであるまた、L/λ>3では前・後端のみ変位の大きい弾性変形を示しているが剛性の高い模型Bは模型Aに比べて短波長の波に対して応答しないことがわかる。
Fig.4、Fig.5にFig.2、Fig.3と同じ実験ケースでの曲げモーメントの振幅を示す。厚さ2cmの模型AではL/λ=3,4で曲げモーメントが大きくなり、短波長では場所ごとのモーメントの変化が大きく、顕著な弾性変形の傾向を示している。一方、Fig.5に示される模型Bでは全波長ともL/λ=0.8で振幅は最大を示しており、さらにL/λ>3の波長域では弾性変形の傾向を示している。運動応答の小さい短波長側でも大きな曲げモーメントが発生していることがわかる。
以上、剛性の異なる2種類の大型弾性模型による波浪中実験より、剛性の高い弾性浮体は弾性応答は小さいが発生する曲げモーメントが大きくなることが確認され、剛性の違いによる弾性応答の差異が実験的にわかった。ただし、今回のポリウレタン製一体模型は若干吸湿性のあるために特に、厚さ2cmの模型Aに定常的な反りのあったことを付記する。
次に複合外力下での大型弾性模型の挙動について述べる。ここで、模型Aの方は潮流実験途中に破損してしまったため波十潮流の結果について示す。

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Fig.1 Experimental model

 

 

 

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